人材ビジネスで成功するヒント

「ネ＊コーチング Nanaブックス刊」
認定エグゼクティブ・コーチ　白根敦子著　定価1,300円

【あらまし】第09話：目が覚めると、テーブルの上にミヤコからの相変わらず達筆な「教え」があったが、ミヤコの姿はなかった。
わざわざ「教え」を置いて、また出て行ったのか、と思うとさらにムカついた。
「何が教えよ。結局あのネコ毎日メシ食いに来ちゃ、ケンカ売ってるだけじゃない！」出勤の支度をしようとして、私は気がついた。「あっ、今日は土曜日？あ〜ん、お休みじゃん！」休日だというのに、早起きをしてしまった。
この一週間というもの、ミヤコにせっつかれて「早起きして部屋を片付ける」ということを繰り返してきたので、それが日課になっているのだ。「まったく年寄りじゃないんだから」しかし予定も無いのに、早く起きても空しいので、昨日途中まで片付けていた靴の整理に取りかかることにした。
どうやら、私の所有している靴は、「デザインに惹かれて買ったけど、足が痛くて一度しか履いてない靴」「履きやすくて、何度も履いているうちにボロボロになったけど、捨てられない靴」のどちらかだ、ということに気が付いた。
「キレイな靴は足が痛いし、履きやすい靴はボロボロだし、どう片付ければいいのよ？」片付ける方法がわからずに、ボーっと靴を眺めていたところ、「痛くなる靴と履きやすい靴には、何かわけがあるのだろうか？」という疑問が湧いた。ヒールの高さは関係なさそうだ。ならば、どこに「痛い」と「履きやすい」の違いがあるのだろう？靴をひっくり返したり、履いてみて調べた結果、それは「つま先の形」が原因であることがわかった。
つま先が尖った靴は私の足の形に合わないのだ。「なるほどね。だから足が痛くなるんだ。もう、こういう靴買うのは止めよう」合わない靴は誰かにあげるか、ネットオークションで叩き売ることにし、ボロボロの靴の中から、修理可能なものを選び出し、残りは全部捨てた。ゴミを捨てて部屋に戻ると、ミヤコの置いていった「教え」がまた目に入った。「答え」は簡単に誰かから教えてもらうものではない。
たった今、私は自分の足の形と靴との相性について考えた。そして、“自分との相性のいい靴の法則”を見つけた。今後は、靴をちゃんと選べるような気がした。つまり、「靴選び」に関して、自分で「答え」を見つけたということだ。「もう！ミヤコ、たとえ話や教えが回りくどいんだよ！直球でくれないとわかんないよ」わざと大きな声で言ってみたけれど、やっぱりシーンとしている。「喋れるといっても、しょせんネコだもんね。気まぐれだよね」と言いつつも、不安があふれてきた。昨日包丁を持って追いかけまわしたから、私に愛想をつかしちゃったのだろうか？夜中に置いていった「教え」は最後なのだろうか？ってことは、私ミヤコに逆らったということで、一生不幸なのか？「そんなの冗談じゃない！」携帯とマタタビ入りのオヤツをつかんで、私は表へ飛び出した。

＜中略＞

昼過ぎまで探したが見つからず、とりあえず部屋に戻ったら、ミヤコがいた。「もう！心配して探したんだからっ」「ふ〜ん、でも心配したのは、アタシじゃなくて、“一生不幸かもしれない”ってことだろ？」「ううっ!?」「アンタの考えていることぐらい、お見通しだよ。
ねえ、それよりさ、爪とぎ買ってくれない？」　・・・第36話までつづく。

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