第18号 迫力ある業績記述は、「成功体験/失敗体験キャリアシート」でつくる。

人材ビジネスで成功するヒント

第18号 迫力ある業績記述は、「成功体験/失敗体験キャリアシート」でつくる。

プロのキャリア・コンサルタントのみなさまお元気ですか。白根陸夫です。本号では、「説得力ある業績記述のノウハウ」を修得するためのツールである「成功体験/失敗体験キャリアシート」を紹介します。迫力ある業績記述は必ず、「○○を○○することによって、○○を○○した」。という表現にします。「○○を○○した」。という記述は比較的簡単に、誰でも出来るのですが、「○○を○○することによって」という記述は、徹底した自己分析を行い十分自己理解することによってのみ明確化することができるのです。ここで使用する自己分析のためのワークシートは、「成功体験/失敗体験キャリアシート」です。このキャリアシートでは、過去5年以内で「仕事上でうまくいったこと」を思い出してみます。はじめは単純な思い出に過ぎないものが、何をしたからうまくいったのかを考え、ついでうまくいった要因を五つに分析してみます。ひとつの成功体験を多角的に分析して考えてみることによって、自分の職務遂行能力のうち、他人と差別化できる優れた能力(ウリ)を認識しようとするものです。このキャリアシートを使わないでウリを考えた場合、多くは「一生懸命仕事に取り組みました」とか「一生懸命頑張りました」という文学的表現になってしまいます。経営者は、一生懸命とか頑張るという言葉などはまったく期待していないのです。なぜならば仕事では誰でも「一生懸命」であり、「頑張っている」からです。一生懸命頑張ってなぜ実績を上げることができないかを問題にしているのです。問われているのは、自身の職務遂行能力をフル活用して、どれだけの業績を上げたかということなのです。その結果を第三者に分かってもらうには、成功要因を五つに分析することによって可能になります。すなわち、知識、経験、スキル、態度、姿勢です。姿勢とは心の中の有様です。たとえば、「効果的なVMDシステムを立案、導入することによって、新規店舗のファッション一番店というイメージ構築に成功した。」という成功体験を例にとりましょう。何をしたからうまくいったのかを考えてみますと、?@もっとも分かりやすい「色」を切り口とするVMD手法を採用し、年間に13のファッションテーマとテーマカラーを設定。商品買付けの元となるファッションディレクションを徹底指導した。?A既存店舗よりも多くの商品提案用ディスプレイスペースを確保し、店舗全体で統一感あるイメージ発信可能なシステムを確立した。?@と?Aは、実行し成果を上げた具体策ですが、このことに気づき、策を考え、展開できた自身のバックグラウンドを五つの要因に分析してみることが「成功体験キャリアシート」の目的です。知識について「幅広い分野の商品知識、情報をもっていたこと」、経験について「関連部門をまとめてひとつのプロジェクトを完成させるコーディネーターとしての職務経験があったこと」、スキルについて「装飾展示技能士の資格をフルに活かし、VMDスキルについては自信があったこと」、態度について「この手法がもっとも効果的であることを社内に周知徹底させたこと」、姿勢については「つねに新しいファッション情報、商品情報を敏感に取り入れ且つ学んだこと」が自己分析の結果です。成功体験を思い出し、ひとつひとつ同様の方法で、自己分析することによって、次第に自身のウリがはっきりと認識でき、自信につながると同時に、これを素直に文章化することによって、自分を分かり易く第三者に売り込むことができるようになります。タイトルである「効果的なVMDシステムを立案、導入することによって、新規店舗のファッション一番店というイメージ構築に成功した。」を、さらに迫力ある記述にするには、五つの要因を使って、タイトルを一層具体的詳細に展開することによって可能になります。すなわち、「日頃より幅広い分野の商品知識や情報の収集と活用に努め、VMDの実効ある展開を熟知していたことによって、新規店舗開店に当たり、ファッション一番店というイメージ構築を狙って、これを導入、見事成功させた(知識要因を付加した記述例)」。「関連部門をまとめてひとつのプロジェクトを完成させるコーディネーター経験を豊富に有していたことによって、新規店舗をファッション一番店とする経営目標完遂のため、効果的なVMDシステムを立案、導入、全社的取り組みを主導、構築、もってその目標を達成した(経験要因を付加した記述例)」。以下、残り三つの要因も同様の手法によってムダなく活用できます。このことによって、ひとつの成功事例を、五倍に膨らますことのできる手法を同時に修得できることに気づかれたことと存じます。自己分析を徹底して行うことは、多少時間がかかりますが、このようなプロセスを経ないで制作された業績記述書(職務経歴書)に比べて、採用側である経営者が「なるほど、この応募者は人材だ」と判断してもらうことの出来る迫力ある業績記述を仕上げることが出来るのです。本号を読まれたプロのキャリア・コンサルタントのみなさま、このノウハウを修得できる場として、白根陸夫は「プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー(R)/認定キャリア・コンサルタント養成講座」HP:http://www.cb-tokyo.co.jpをご用意しております。ぜひご受講をお勧めします。第19号は、新企画を考えています。お楽しみに。

白根 陸夫白根 陸夫(しらね りくお)
プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/
エイジング・アドバイザー®
認定エグゼクティブ・コーチ

講師プロフィールを見る

« キャリア・コンサルタント能力向上セミナーを開催しています | どこも教えない転職活動のヒントのトップへ | 第19号 キャリア・コンサルタント独立開業への途(その1) »

トラックバック

http://careerbrain.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/533

カレンダー
2005年06月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
最近のエントリー
最近のコメント
最近のトラックバック