第19号 キャリア・コンサルタント独立開業への途(その1)
プロのキャリア・コンサルタントのみなさまお元気ですか。白根陸夫です。本号から「キャリア・コンサルタント独立開業への途」をテーマに、白根陸夫この道10年の体験から、「こうすれば実現できる!」という方策をみなさまに伝授すると同時に、「その準備は早ければ、早いほど良い」ことから、今すぐ何から着手しなければならないかをお教えしたいと存じます。「プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー養成講座」を開講して5年になりますが、受講のみなさまは、「総合受講案内」に白根陸夫が述べている開講の趣旨をよく読んで理解されてから受講を開始されるので、全員が将来の夢として独立開業を志望して学ばれています。では、「独立開業」とはどんなことをイメージしているかを問いますと、全員明確なビジョンをもっていないのです。個人のカウンセリング業の成り立ちを考える場合、まず経営資源を考えてください。万人共通して、経営資源は五つ、すなわちヒト・モノ・カネ・時間・情報の五つです。ヒトとは、独立開業者本人です。モノとは、独立開業者が有するモノですが、これには有形なモノ(固定資産:事務所<カウンセリング・ルームスペースがあること>、什器備品、パソコン・プリンター<A−3版プリント可能なレーザープリンター>、電話装置、複写機<A−3版コピー可能な機器>、ファクス<B−4版送受信可能な機器>と棚卸資産:パンフレット類、マニュアル・テキスト類)と無形なモノ(商標権、著作権、ノウハウ)で構成されます。このうち、事務所は賃借することになります。自宅の空きスペースをカウンセリングスペースに当てることは避けるべきです。生活臭のする場所でキャリア・カウンセリングを受けることを、クライアントが好まないからです(好まないということは、来談者が来ないということです)。では、事務所を賃借するとなると、保証金が月額賃料の10ヶ月分必要です。また、月額賃料のほかに共益費(管理費)と光熱費を支払うことになります。次に、カネですがこれは当初出る一方です。固定資産購入代金として200万円(このうちの多くは減価償却期間5年)、棚卸資産として150万円(パンフレットデザイン代やマニュアル開発費、HP制作費を含む)、事務所賃借保証金として120万円(賃料12万円として)、合計470万円がどうしても必要になります。さらに、当面売上ゼロですから、運転資金と生活資金が必要です。運転資金(活動費)として月額30万円、事務所賃料月額15万円(共益費3万円を含む)、生活費は月額30万円(夫婦二人の生活)として、合計75万円となります。一般に、独立開業に当たっては3年間分の生活費を用意するようにといわれていますが、24ヶ月後に黒字転換することを必達にすることとします。しっかり営業活動を継続していれば、月次赤字は逓減していくことを期待して、75万円×18ヶ月=1,350万円となりますが、さらに努力を傾注して、赤字逓減スピードをアップさせて1,000万円を用意することにします。これで、開業資金は、470万円+1,000万円=1,470万円(うち120万円は保証金)となりました。実際には、もっと少額でスタートする人が多いと思われますが、心積もりとして考えておくことが必要です。さて、このブログをお読みになっているプロを目指すキャリア・コンサルタントのみなさんはどうやって月額75万円を売り上げるのでしょうか。独立開業者ですから休みは日曜日だけにした場合、稼動日数は26日、売上日額は、75万円÷26日=29,000円となります。幸いにしてキャリア・カウンセリングにお金を払うクライアントがいてくれたと仮定して、一時間当たり6,000円(税込み)が現在の相場です。この金額は将来さらに下落すると予想しておくべきですが、現在の相場で、29,000円÷6,000円=5名となります。毎日26日間、途切れずに5名のクライアントの集客が可能かということになりますが、可能にするには広告宣伝投資もすべきでしょう。独立開業者にとって費用対効果をつねに考えて、経営しなければなりません。本号は、ここまで。前号までは白根陸夫の就職活動必勝のノウハウの開示が中心で、それはそれで面白かったと思いますが、本号からしばらくは、白根陸夫の独立開業10年間の軌跡を経営面からアプローチしていくものです。明日のあなたの姿です。プロを目指すキャリア・コンサルタントのみなさまとって、自分の独立開業時から成功するまでのストーリーが眼前に展開していくような疑似体験を実感できることでしょう。第20号にご期待ください。
白根 陸夫(しらね りくお)
プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/
エイジング・アドバイザー®
認定エグゼクティブ・コーチ
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