人材ビジネスで成功するヒント

■高齢者の活性化・戦力化のための能力開発８つの具体策・解説・その２７

『２．不断の努力の重要性・・・能力開発の努力継続によって大きなチャンスが獲得できることを認識させる。』

自己分析のシートである「成功体験／失敗体験キャリア・シート」について解説する。
このシートは、「うまくいった例」「うまくいかなかった例」を各々二例づつ挙げて、その原因を、知識、経験、スキル、態度、姿勢の五つの要因に求めるという分析シートである。スキルは技能、態度は他人から見られる自身の行動、姿勢は他人がうかがい知ることのできない自身の心の中の有様である。
ビジネスパーソンとして大成するか否かは、実務処理能力、すなわち保有する職務遂行能力（仕事力／段取り力）の優劣と活用の上手さ、そして精神力（忍耐力・持続力・挑戦力）で決まると考える。
「うまくいった例」では、どういう知識・経験・スキル・態度・姿勢が成功の要因となったを明らかにすることができる。成功の要因は人に比べて優れる力である。
この力をさらに伸ばしていけばさらに人に比べて職務遂行上優位に立つことができるといえる。
このキャリア・シートによる自己分析を行わない場合は、その成功の要因は外的なものか自身の努力によるものか、或いはその両方が相俟ってのことか判然としない。判然としなければ能力開発の糸口がみつからないということになる。
キャリア・シートの項目の構成は次の通りである。設問：「うまくいった例を１〜２挙げてください」?@何をしたからうまくいったのですか？?A成功の過程で何か失敗しましたか？?Bどういう知識・経験・スキル・態度・姿勢が役に立ちましたか？?Cもう少し異なった行動をとっていればもっと良かったと反省する点は？この４つである。

◎うまくいった例の三例目を紹介する（女性の場合）

成功例：
「効果的なＶＭＤシステム（ビジュアルマーチャンダイジング）を立案・導入することによって、新規店舗の「ファッション一番店」というイメージ構築に成功した。

※なにをしたからうまくいったのですか？
?@最もわかりやすい「色」を切り口とするＶＭＤ手法を採用し、年間に13のファッションテ
　ーマとテーマカラーを設定。商品買い付けの元となるファッションディレクションを徹　底指導した。
?A既存店舗よりも多くの商品提案用ディスプレイ・スペースを確保し、店舗全体で統一
　感のあるイメージ発信可能なシステムを構築した。

※成功の過程でなにか失敗しましたか？
・各メーカーのブランドが独自にカラーテーマを設定しており、商品の納期と店全体で展
　開する時期との間に、ズレが生ずる場合があった。

※どういう知識・経験・スキル・態度・姿勢が役に立ちましたか？
・知識：幅広い分野の商品知識、情報を持っていた。
・関連部門をまとめて、一つのプロジェクトを完成させるコーディネーターとしての職務経
　験があった。
・スキル：装飾展示技能士１級に合格し、ＶＭＤスキルについては社内一だった。
・姿勢：つねに新しいファッション情報、商品情報を敏感に取り入れて学んだ。

※もう少し異なった行動をとっていればもっと良かったと反省する点は？
・より早期に有力ブランドの商品情報を把握し、タイアップ、プロモーション実施の可能性を掘り下げておけがよかった。次号に続く。
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■高齢者の活性化・戦力化のための能力開発具体策８つ（第２９４号より）
高齢者の活性化・戦力化は次の８策を同時に実行することによって実現することができる。
１．環境理解・・・平均余命の伸長によって７５歳までセカンドキャリア（再就職）を継続しなければならないことを理解させる。
２．不断の努力の重要性・・・能力開発の努力継続によって大きなチャンスが獲得できることを認識させる。
３．キャリア形成の重要性認識・・・仕事の「やりがい」「いきがい」は、キャリア・ビジョンの設定とそれを実現するために努力する過程にあることを認識させる。
４．目標設定・・・定年退職時点で会社が本人に望む仕事と期待する成果を出来る限り明確に提示する。
５．職務遂行能力把握・・・現有の職務遂行能力を自己分析によって把握させる。
６．能力開発計画策定・・・定年退職時点で会社が望む仕事と期待する成果を上げるために必要とされる職務遂行能力と現有能力の乖離を埋める能力開発計画を策定させる。
７．能力開発自己研鑽進捗チェックとメンタルフォロー・・・上長による定期キャリア・カウンセリングの実施（第三者のプロに委託することも有効）。
８．活性化・戦力化フォロー・・・上長によるＯＪＴコーチングで加速させる。
高齢者がもつ定年後の不安を解消させるための方策はとりもなおさず、企業が行う高齢者の活性化・戦力化策と表裏一体をなすものであることを高齢者に理解させることが、活性化・戦力化の要である。
※『キャリア形成四つのタイプ』については、『プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー（Ｒ）／認定キャリア・コンサルタント養成講座」ＨＰ　http://www.c-pro.cc/　』にアクセスしてください。詳しく解説しております。
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次号へ続く。