第32号「売れるキャリア・コンサルタント/キャリア・カウンセラーのコンピテンシーテスト」(その3)
再就職支援サービス会社(アウトプレースメント)が腕のいいキャリア・カウンセラーを採用する必要性、あるいは腕のいいキャリア・カウンセラーを育成する重要性について、前号で述べましたが、臨床体験のないキャリア・カウンセラーを雇用したときはどのように育成していくのでしょうか。ベテランのキャリア・カウンセラーのカウンセリング時に、クライアントに了承を得て、見学させてもらうことを5日間ほど続けるというやり方が多いと思います。了承を得ることのできる間柄になるには、おそらく4回目のカウンセリング以降となりましょう。一般にクライアントは見学者のいることを嫌う場合が多いのです。5日間といっても一日あたりいくらも機会はなく、5日間といっても以外に少ないのです。また、友好的なキャリア・カウンセリングの場をいくら見学してもカウンセリングスキルは向上しません。修羅場に出っくわすことがないのでいざ一人で個室内でカウンセリングするとなると怖くて仕方がないというキャリア・カウンセラーが沢山できてしまいます。クライアントから見ると頼りなくて仕方がないということになります。変えてほしいというクレームを頂戴することも多いのです。そのようなカウンセラーも長年経験することによって、徐々に育っていくものではあります。だから、経営者としてはそく戦力である業界経験のあるカウンセラーの採用を優先することになります。しかし、経験の浅いカウンセラーも何か同業者にないウリを有していれば、当初から自信ある態度のとれるカウンセラーになることができるのです。そのウリが何かです。履歴書制作スキル、職務経歴書制作スキル、合格面接指導スキル、求人開拓スキルなどにおいて、余人をもって代えがたいカウンセラーであると自覚しさえすればよいのです。ウリはひとつのスキルでいいのです。これを見つけることがなかなか難しいのです。客観的で共通の尺度がないからです。共通の尺度が存在し、これをもって自分のウリが測定できれば自信につながり、堂々とクライアントに接することができます。自信があればクライアントの信頼も早期に獲得することができます。キャリア・カウンセリングがうまくできるようになればそのカウンセラーは成長が早く、任せて安心、いわゆる一人前になるのも早いということになります。客観的で共通のスキル測定のモノサシである、「売れるキャリア・カウンセラー/キャリア・コンサルタントのコンピテンシーテスト」が業界で渇望される所以です。コンピテンシーとは、高業績者の行動特性のことです。次号に続く。ご期待ください。
白根 陸夫(しらね りくお)
プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/
エイジング・アドバイザー®
認定エグゼクティブ・コーチ
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